星の数ほどあるカメラメーカー・機種の中でも、「高嶺の花」というイメージがあるLEICAのライカ。「いつかはLEICAライカのカメラを手にしたい!」と願っているカメラ愛好者は多いことでしょう。近年はLEICAライカも、大衆向けのミラーレス一眼カメラも作っていますし、インターネットの普及からオークションサイトや中古ショップから購入することも手軽になってきています。
しかし、LEICAライカはドイツのメーカーであるため、他の日本の主流なカメラとは一味も二味も異なるクセを持っていて、憧れだけで大金をはたいてしまうと、後で後悔することになってしまうかも・・・。
LEICAライカのカメラにはどのような特徴があるのでしょうか?LEICAライカのカメラはなぜ、世界で人気者になったのでしょうか?この記事では、LEICAライカのカメラについて、「中立的な」立場から解説するように努めます。
1.一目でわかる!LEICAライカのカメラの特徴。
ドイツの老舗高級メーカーで、日本においてはブランド的な人気が高い。
精巧な技術を誇るメーカーであり、ポータブルカメラのパイオニアなメーカー。
カメラ本体はヴィンテージワインのような魅力。基本性能は高くないが味のある画質。
繰り返すが、現代においてはカメラとしての基本性能が高いわけではない点に注意!
フィルムカメラのイメージが強いが、ミラーレス一眼カメラも作っている。
値段が非常に高い。
初心者には向いていない。
2.魅力はプライスレス?LEICAライカのカメラを徹底解説。
ドイツの高級カメラメーカーであるLEICAライカ。名前は有名だけれどあまり見たことがない・・・といった印象のカメラだと思います。雑誌の撮影や映画の小道具などとしてよく使われますが、実際にメイン機として日々持ち歩いたり旅行に持っていったりする人は極めて少ないです。
LEICAライカは、日本のカメラメーカよりも50年以上前に設立された超老舗・超パイオニアなカメラメーカーです。
映画用の撮影機器を、持ち運びできるコンパクトなカメラに応用した画期的な技術革新や、初期の頃から非常に丁寧で精密な製品造りをしていたことから、その職人美学をリスペクトする人が多く、そこから「LEICAライカ=憧れの高級ブランド」といった立ち位置になりました。
「歴史じゃなくて性能を説明してよ!」とあなたはヤキモキしているかもしれませんが、LEICAライカを知る上ではこうした歴史背景や精神美学が非常に重要な意味を持つのです。
1900年代半ばまでは、カメラ性能の面でLEICAライカは世界トップでした。日本のカメラメーカーは1900年代初頭にカメラ開発を始めますが、どこのメーカーも軒並み、「LEICAライカのカメラを模倣する」というところから製品開発をスタートしています。
1950年代、LEICAライカは、レンジファインダーという特殊な構造のファインダーを開発します。これが非常に精巧なもので、日本のメーカー各社は「これ以上LEICAライカの模倣をするのは無理だ!」と根を上げます。そこから日本のカメラメーカーは、「一眼レフカメラ」という独自のシステムを開発し、その路線を歩み始めます。
「技術世界一のLEICAライカ」は、実はこの辺りでもう終焉を迎えています。それまでは、報道などプロのカメラマンも軒並みLEICAライカのカメラを愛用していましたが、日本が一眼レフカメラを確立してからは、世界のプロたちの利用は日本のメーカーに流れだすのです。日本の一眼レフカメラのほうが、LEICAライカのカメラよりも高性能になったということです。
それからLEICAライカのカメラは、「スナップ写真用のカメラ」といった立ち位置になりますが、これはつまり、「持ち運びには便利だけれど画質はあまり高くない」ということなのです。
しかし、世界各国のセレブが、オシャレやステイタスの一環としてLEICAライカのカメラを持ち、それが週刊誌やテレビなどで露出することから、「ブランド力の高いカメラ」という地位をLEICAライカは保ち続けるのでした。
日本のカメラがどんどん進化し、鮮明な写真を撮れるようになってくると、LEICAライカの写真が「ノスタルジーを感じさせる味のある画質」と形容されるようになっていきます。この特色は、日本のカメラの技術が進めば進むほど個性と希少価値の高いものになっていき、結果的にLEICAライカは、やはり「特別なブランド」という市場評価を保ち続けます。そして、同じようなオールドスタイルのレンジファインダー型カメラを、淡々とでも丁寧に、作り続けたのです。
デジタルの時代が到来し、LEICAライカもミラーレス一眼カメラを作るようになりましたが、それでもやはり、「古風な特色のカメラ」という個性を変えていません。
さて、以上が客観的に見たLEICAライカのカメラの概要なのですが、ではカメラの性能や画質はどうなのか?という話に移っていきましょう。
現代のLEICAライカは、デジタル部分の性能では日本の各メーカーに劣っていると言えますが、独特なファインダーと精密なレンズによって、最新機種には出せないノスタルジックな魅力を保ち続けています。
インスタグラムで人気のあの淡い雰囲気の画質は、LEICAライカっぽいと言え、つまりそうしたノスタルジックな画質に、かなり多くの需要はあります。しかし、インスタグラムで実際に投稿されているノスタルジックな写真の数々は、別にLEICAライカの高級カメラで撮影されたわけではなく、大衆的なコンパクトデジカメや、よもすればスマートホンで撮られており、インスタグラムのフィルター機能によってノスタルジックな雰囲気や淡い表現が施されているにすぎません。それでも大衆が「味のある良い写真だね!」と絶賛しているとなると、ノスタルジックな風合いを得るために高額なLEICAライカのカメラが必要かというと・・・決してそうとは言えません。
LEICAライカのカメラはどれも軒並み高額で、「性能のわりに高すぎる」という意見が実際のところよく聞かれます。その指摘はある意味、間違っていないでしょう。しかしアンティークの家具やジーンズに価値があるように、LEICAライカのカメラには他メーカーにはない価値があるとも言えます。
LEICAライカは基本的に、価格から言っても使いやすさや性能から言っても、初心者にはオススメ出来ません。幾つかカメラを渡り歩いた人が、これまでの自機にない「味」を求めたり、「箔(ハク)」を求めて手にするような機種と考えましょう。または、アーティストをやっている人で、かつ裕福であるならば、初めてのカメラがLEICAライカであるという選択肢はあり得ます。
3.LEICAライカの代表的なブランド一覧。
カメラは、メーカーの名前以外にニックネームのようなものが付いています。販売店のスタッフなどは、「オススメはM型ですね」といった具合に、商品の説明や比較の際にこのニックネームのほうを多用することも多いので、有名なものや購入検討している分野のものは一通り覚えておきましょう。
(1)M型
LEICAライカお得意のレンジファインダーを継承する、フィルムカメラをラインナップしています。フィルムカメラということはデジタルカメラではなく、パソコンやスマートホンですぐにアップすることはできませんし、その都度フィルムを購入し装着し、お金を払って現像に出す必要があります。若い世代はこうしたフィルムカメラの扱いを知らない人も少なくないでしょうから、M型を検討しているなら注意が必要です!
(2)R型
一眼レフタイプのフィルムカメラをラインナップしています。こちらは現代のアンティークテイストのミラーレス一眼カメラによく似た外観をしていますが、あくまでフィルムカメラなので間違えないように気をつけましょう。やはりノスタルジックな画質を特徴としており、実際に出回っている数としてはM型よりもR型のほうが多いです。実は、日本のメーカーであるミノルタが技術協力しています。
(3)ライカT
あまりブランド名としてくくられることはないですが、「ライカT」から始まる機種名のものは、ミラーレス一眼カメラのラインナップです。つまり、LEICAライカかつデジタルカメラが欲しいという場合には、「ライカT」から始まる名前のものを選びましょう。
このシリーズであれば、新品を購入することができますし、価格.comなどでもお目に掛かれます。
4.LEICAライカのカメラ作りの歴史。
トピック2の「特徴」の項目がほとんどLEICAライカの歴史紹介になっているので、ここでは簡潔にまとめます。
LEICAライカは、前身の光学機メーカーとしては1849年設立、カメラメーカーとしては1913年の創設で、すでに生誕100年を超えたドイツの超老舗カメラメーカーです。
日本のカメラメーカーはLEICAライカのカメラの模倣から始まったので、この頃にLEICAライカが映画用撮影機を試作していなければ、日本のカメラ業界の歴史も始まってはいなかったでしょう。
LEICAライカは、技術大国ドイツの技術の粋を集めて、レンジファイダーカという仕様のカメラを開発します。この技術があまりにも高度であったため、日本のメーカーはLEICAライカの追従をあきらめ、一眼レフタイプのカメラを開発することになったのです。
そのことは逆に、LEICAライカの一眼レフカメラ参入を遅らせることになります。結果、LEICAライカはクラシックさを特徴としたカメラを作るメーカーという道を歩みますが、アンティークワインのようなその独特の作風には、21世紀を過ぎた今でも世界中にファンがい続けています。
いかがでしたか?
LEICAライカは、「カメラ業界の功労者」ではありますが、現代において高性能なカメラを作るメーカーとは言えません。アンティーク品やヴィンテージ品のような魅力を持ち味とするメーカーですから、たとえばあるLEICAライカのカメラに30万円の値札が付けられていて、そこに30万円の価値があるかどうかは、個人差が非常に大きいのです。そのため、LEICAライカの高価なカメラを買うならば、カメラやLEICAライカのことをよほど深く勉強してからのほうが良いでしょう。
また、これまでLEICAライカが担っていた「アンティークな外観」という分野は、近年ではOLYMPUSオリンパスの「PEN」シリーズ(宮崎あおいさんのCMのあれです)など、多くの製品が安価な値段で販売しています。「ノスタルジックな画風」という面においても、インスタグラムや画像編集アプリなどのフィルター機能でそれっぽい画風が容易に得られるようになっていますし、カメラ本体に「アートフィルター」といった名前でそうした機能が付いているものも多いです。
つまり、人によってはどうしてもLEICAライカのカメラに高額なお金を払う必要はないかもしれません。もちろん、「そうしたイミテーションではなくLEICAライカの深い味わいを手にしたい」と感じる愛好者も多いはずで、そのような人々にこれからもLEICAライカは愛され続けるでしょう。