
声優の専門学校をどこにしようか選ぶ際、「卒業後のプロダクション合格率98%」といった見出しやグラフに魅了され、「この学校ならプロになれそうだ」と選んでしまう人は多いです。
でもちょっと待って!
「合格率98%」といった数字は、まったくアテにはなりません・・・。
練習生なども含んだ契約の実績にすぎない・・・
どこの専門学校も「合格率98%!」「合格率96%!」などと非常に高い数値が並んでいます。
これ、数字のカラクリにすぎないのです!
こうした合格率は、声優プロダクションに「正所属」出来た人の数だけでなく、「練習生」「研修生」といった仮契約どまりだった人の数も含まれます。
でも、練習生って?研修生って?
準所属、仮契約、練習生や研修生、預かりは、「プロダクションに所属しているプロ」ではなくて、「プロダクションのレッスンスクールに通う生徒」にすぎません。
正所属以外の仮所属はもっぱら、年間30~40万円ほどのレッスン料を支払って、レッスン生として事務所と関わるものです。「就職できた」とは言えないです・・・
仮所属でもアニメ吹き替えなどのお仕事が貰えることもあるにはありますが、年間1本あるかないか、といった程度です。
プロダクションは「仮所属」として非常に多くの生徒を採る、ということ。
言い換えると、声優プロダクションの各社は、毎年大勢いる声優専門学校の卒業生の大半を、「3年目のスクール」という感じで大量に採るのです。
これは、「就職採用している」のではなくて、「卒業後にさらにスクールに通わせる」というニュアンスのものなのですね。
大手の声優プロダクションは、抱えている仮所属の子の数も膨大で、もはや事務所の社長やマネージャーはその子たちの名前も顔も知りません。レッスンの際に、そのプロダクションの有名声優さんに会えたりもしません・・・。
「有名プロダクションの所属になれる」というと響きが良いですよね。友達にも自慢したくなります。
その「ニュアンスの心地良さ」に惹かれて仮所属の契約をしてしまう子が大勢いるわけなのですが、あくまでレッスン生としてスクールに再入学するだけなので、本当にそれで良いのかどうか、よくよく検討が必要です!
言葉の定義は事務所によってマチマチ。
「研修生」って何?「預かり」って何?
進路を迷う生徒さんやその親御さんは、戸惑うことでしょう。
正所属以外の契約の名称は、プロダクションによってマチマチです。
「準所属」と言うと聞こえが良いように思えますが、「レッスンの日々が続くし、レッスン料がかかる」とう待遇は他プロダクションの「練習生」と同じだったりします。
「預かり契約」というのも、他プロダクションでは「練習生」「研修生」と呼ばれているものであったりします。
卒業オーディションを受け、プロダクションから採用通知が届いたとき、その肩書きよりも「内容」に着目してください。
「正所属でマネジメント契約します」であれば、即戦力のプロとして認められたということなので、前向きに契約を検討してよいでしょう。「本所属」「正式契約」も同じ意味です。
しかし、「年間〇万円のレッスン料での、〇〇契約に選ばれました!」とレッスン料が必要なものであれば、専門学校にもう2~3年通うのと同じようなものです!専門学校よりは学費が安いでしょうが、レッスン生であることには変わりません。
レッスンは週2日だが、練習が週2日で良いわけじゃない!
声優プロダクションの研修生、練習生、準所属などは、週2日のレッスンであることが多いです。
しかし、これからのレッスンが週2日で充分というわけではありません!
週のうち2日は講師に見てもらえるけど、それ以外の5日は自主練習が必要、と考えましょう。
フリーターをしながらレッスン生をする、ということで良いですが、「仕事から帰ってきた後にも練習する」といった熱意は必須です。
「正所属」「本所属」以外はあまり意味がないということ。
声優プロダクションと契約が出来るなんてスゴイ!とついつい思ってしまいますが、「正所属」「本所属」以外はあまり意味がないと言えます。
声のお仕事を振ってもらえることはほとんどなく、ただお金を払ってレッスンを続ける日々です。
そして、「準所属」「研修生」「練習生」といった契約の人は、世の中に何十万人といるわけです・・・
準所属からステップアップしていく人もいないわけではありませんから、そうした契約をするのも無意味とは言えません。しかし、何万人もいる準所属のライバルを抜き去る自信が、あなたにはあるでしょうか??