
3分でわかる!35mmフルサイズとAPS-Cその違いとは?
カメラには専門用語がたくさん出てきます。それらを覚えなくてもカメラはけっこうキレイに撮れるものですが、幾つかは理解しておきたい用語がありますよね。
撮像素子における「35mmフルサイズ」と「APS-C」などもその1つでしょう。
これは、カメラを買う際にも重要になってくるキーワードですね。高い買い物を失敗しないために、購入前にこの2つの意味や違い、メリットデメリットを理解しておきましょう。
3分でわかりやすく、解説していきます!
撮像素子とは?イメージセンサーとは?
そもそも、撮像素子やイメージセンサーが何なのか、わかっていない人も多いかもしれませんね。大丈夫です。ほとんどみんな理解していません(笑)
撮像素子またはイメージセンサーとは、フィルカメラ時代のフィルムに相当するパーツです。デジタルカメラにしか搭載されていません。
一般的な用途のカメラで言えば、「35mmフルサイズ」が撮像素子の最も大きな、最高級なグレードです。これで、フィルムカメラの普通のフィルムと同じ大きさの写真が撮れることになります。同じ大きさに引き伸ばして、同じ鮮明さを得られるということです。フィルムはわずか200円で買えますが、これをデジタルパーツにするととても高価なものになるのですね(笑)
巷のデジタルカメラの9割以上は、35mmフルサイズよりも小さな撮像素子を積んでいます。9割のデジタルカメラは、フィルムカメラよりも画像が悪いのです。だからよく、古くからのカメラ愛好者は、「デジカメは画質が悪い」と嘆くわけです。10万円ほどもする35mmフルサイズ撮像素子を積んだカメラを購入してようやく、フィルムカメラの画質に追いつきます。
デジタルカメラが普及したのは、画質が良いからではなく利便性が高いからです。フィルム制限に縛られずに何百枚でも撮れますし、モニターで写りを確認しながら撮れたりします。現像などしなくてもすぐパソコンで見れますね。こうした利便性を大衆は支持したので、フィルムカメラは衰退しデジタルカメラが主流となりました。
しかし、画質も妥協したくない人にとって、撮像素子はとても重要な、気にすべきパーツなのです。
ちょっと長くなりましたが、撮像素子について、理解できましたか?
35mmフルサイズ撮像素子の特徴は?メリットは?
それでは本題に入っていきましょう、まずは35mmフルサイズセンサーの特徴やメリットについてご紹介します。
背景をボカしたときのボケ味具合がとても豊か。
APS-Cより広角に撮れるので、風景写真も大迫力に!
大きなサイズでプリントしても鮮明な画質を保てる。
APS-Cサイズ撮像素子の特徴は?メリットは?
続いて、APS-Cサイズのイメージセンサーの特徴・メリットを解説します。必ずしも、35mmフルサイズの廉価品というわけでもないのがポイントですよ!
ズームの性能が35mmフルサイズよりも高い。
カメラを小型・軽量で作りやすく、持ち運びや撮影がラク。
本格的なレンズ交換式カメラを安く買える。
ミラーレス一眼カメラが爆発的に普及したのは、APS-Cサイズの撮像素子のおかげと言えますね。一眼レフカメラと大差ない画質のカメラをあんなにコンパクトに出来たのは、APS-C撮像素子がコンパクトだからです。価格も安いですね。
いかがでしたか?
35mmフルサイズとAPS-Cの違いは、この程度のことを理解できていれば充分です。35mmフルサイズのほうが画質が良いけれど、APS-Cサイズのほうがコンパクトで安い、という感じですね。あなたにとってのカメラ選びの優先順位は、プロ並みの画質ですか?それとも持ち運びに便利な携帯性ですか?
それによって35mmフルサイズかAPS-Cかを決めると良いでしょう。
もっと知りたい!35mmフルサイズとAPS-Cその違いとは?
35mmフルサイズとAPS-Cの違いについてもっと詳しく掘り下げたい方は、以降のトピックも参考になさってくださいね。
豊かなボケ味を出すには、35mmフルサイズ撮像素子+F値の低いレンズ!
背景を豊かにボカしたいなら、35mmフルサイズ撮像素子のカメラを買えばそれで良いというわけではありません。豊かなボケ味を出すコツを知っておきましょう!
ボケ味は、F値の数字によって決まります。F値が低いほど(0に近いほど)豊かなボケ味が出せます。背景をボカしたカッコイイ写真を撮りたい人は、このことを頭に入れておいてください。
まずはF値のなるべく低いレンズを入手したいですね。
一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラの標準キットレンズは、F2.8-4.0程度の性能のものが多いです。レンズの中にはF1.8というものがあり、それを別途購入して装着しなおしたほうが、豊かなボケ味が撮れます。
ただし、F1.8のレンズは単焦点レンズがもっぱらですね。ズームができないのです。屋内で料理や小物を可愛く接写するような場合にはズームがなくても問題ないのですが、旅行や屋外など、被写体の距離がころころ変わるような場面では、ズームが出来ないと不便なものがあります。そのため標準キットレンズでは、F値を最優先にはせず、F2.8-4.0程度でズームも可能なものを付属するのですね。
背景ボカしにこだわりたいなら、F1.8のレンズを入手しましょう。
カメラを構えたら、F値を小さな値に調整しよう!
F2.8-4.0のレンズは、常にF2.8-4.0で写真を写すわけではありません。この数値はあくまで、最小値を示しているだけ。実際には、被写体として映ったものをカメラのオート頭脳が判断して、F値を変えていきます。
カメラのダイヤルを、オートから「A」に変更しましょう。絞り優先モードです。これによって、手動でF値を調整できるようになります。
また、カメラの中には「ボケ味コントロール」というダイヤルや設定画面を設けているものもありますね。これは実際にはF値を調整しているだけなのですが、初心者にはF値と言うよりボケ味と言ったほうがわかりやすいため、こうした機能をつけるわけです。
F値が低ければ良いというものではない!風景写真を撮るならF値を大きくすべし。
F値というのは、低ければ低いほど良いというものでもありません。あくまで、ボケ味を出すためには低いほうが良いというだけのこと。
逆に、画面全体にピントがあうように写すべき風景写真では、F値は大きくするほうが良いのです。F10くらいが適当と言われています。
オートモードでカメラを構え、風景を写すと、自動的にF10くらいに調整してくれます。山のマークの風景モードになっていれば確実です。
近くに人が写っているけれど、背景をボカさず風景全体をクッキリと写したい場合は、モードを山のマークの風景モードに指定するか、「A」モードでF値を自己設定しましょう。
APS-Cサイズのカメラが向いているのはこんな人!
すべての人に35mmフルサイズのカメラが向いているというわけでもありません。画質は撮像素子以外の要素も関連してきますし、画質だけでなく携帯性もカメラにとっては重要です。オサイフとの兼ね合いもありますよね。
APS-Cサイズのカメラが向いているのはこんな人です。
ボケ味ある写真を撮りたいが、最上級の画質でなくてもかまわない。
軽くて持ち運びやすい高性能カメラが欲しい。
可愛いデザインのカメラが欲しい。
撮影技術に凝るつもりはあまりない。
レンズ交換をするつもりはあまりない。
カメラにあまり予算をかけられない。
望遠での撮影が多い。
これらのうち2つでもあてはまるなら、あなたは35mmフルサイズのカメラよりもAPS-Cサイズのカメラのほうが良いでしょう。
言い方を変えると、一眼レフカメラよりもミラーレス一眼カメラのほうが向いてます。
ミラーレス一眼カメラはAPS-Cサイズの撮像素子を積んでいるものがもっぱらで、性能とコンパクトさを両立させたバランスの良いカメラです。値段も安いですね。
近年のカメラブーム、カメラ女子の火付け役である宮崎あおいさんのCMの「オリンパスPEN」も、ミラーレス一眼カメラです。
35mmフルサイズセンサーの時代は終わる?
プロカメラマンを目指す人など、画質に強いこだわりを持つ人は、35mmフルサイズ撮像素子を積んだカメラのほうが適していると言えます。
しかし、それも今のうちだけかもしれません。
というのも、カメラファンが爆増した昨今、大衆がカメラに求めるのは「機能性」になってきました。「軽くて小さなカメラが良い」というニーズが圧倒的に多いのです。
そしてカメラメーカー各社は、そのニーズに応えて商品開発をするようになってきています。
高画質のカメラを作るために「35mmフルサイズ撮像素子を積む」のではなく、「APS-Cサイズでも35mmフルサイズを超えるような画質で撮れる」をコンセプトに開発する流れが、起き始めているのです。
げんに、富士フィルムのミラーレス一眼カメラは、「APS-Cだが35mmフルサイズ以上」を明確に謳うようになっています。そして実際に、APS-Cサイズの撮像素子でもフルサイズ並みの画質を成しえているのです。
そのため、プロやプロ志望の人も、「フルサイズ以外は論外」といった考え方はしないほうが良いです。APS-Cサイズやそれ以外でも、「画質が良い」「総合的に良い」と思えるカメラがあったら、柔軟に心を開いていきましょう。
「フルサイズの一眼レフカメラを使う人は古臭い」と言われてしまうような時代が、あと数年もしないうちにやってくるかもしれません・・・。
APS-Cサイズで高画質なカメラを作っているメーカーはどこ?
総合的な魅力でAPS-Cサイズのほうが優秀だということはわかりました。でもそうは言っても、画質や性能も出来れば高いほうが良いな・・・。そんな欲張りさんも多いことでしょう。APS-Cサイズでありながら高画質・高性能なカメラを作っているメーカーというのはあるのでしょうか?
画質を追求するなら富士フィルム!
純粋な画質を追求したいなら、富士フィルムのAPS-Cミラーレス一眼カメラが頭ひとつ抜きんでています。APS-Cサイズながらフルサイズセンサーを超えるコンセプトで開発しているので、他メーカーとは一線を画しています!
フィルムカメラのようなシンプルな使い心地を継承し続けているのも富士フィルムの魅力で、初心者でも扱いやすいのが良いですね。
総合力が高いのはソニー(α)。
家電メーカーの雄らしく、使い心地や最新機能の搭載にも余念がないのがソニーです。「なんでも詰め込んである」という感じで、総合的な性能は高いですね。それをコンパクトでクールなボディに実現しています。
カメラで色んなことを試したい人や、論理的な思考を好む男性にはソニーのミラーレス一眼カメラが向いています。
軽くて可愛いミラーレス一眼カメラはオリンパスとペンタックス。
かわいらしい外観と持ち運びに便利な携帯性を重視するなら、ミラーレス一眼カメラの火付け役となったオリンパスが良いです。宮崎あおさんがCMをするPENですね。
また、ペンタックスも小型でかわいらしいカメラが得意です。性能の面ではペンタックスがやや有利。値段もペンタックスのほうが安いです。
35mmフルサイズで小さなカメラを作っているのはどこ?
逆に、35mmフルサイズの弱点であるボディサイズを、小型軽量化して作っているメーカーはあるのでしょうか?
ペンタックスが小型軽量・高性能で秀逸!しかも安い。
35mmフルサイズの一眼レフカメラで比較するならば、小型機種が得意なのはペンタックスです。レンズの小型化も得意としているため、他メーカーよりも2回りくらい優れていますね。画質性能も高いです。
しかも値段が安く、コストパフォーマンスが高いのもペンタックスの特徴です。
画質性能よりもフィルター加工のほうが重要だったりして・・・
Instagramで注目を浴びるような写真を撮りたいと願っているなら、撮像素子の立派なものにこだわるのはちょっとストップ!
実は、今どき実際にInstagramで評判を得ている写真は、35mmフルサイズの一眼レフカメラではなかったりします。
近年のInstagramやSNSの傾向として、純粋に画質や技術の高い写真よりも、「味のある」写真が人気です。Instagramのアートフィルター、カメラ本体やスマホアプリのアートフィルターで、「ビンテージ」などの加工をしたものですね。
こうした色付けは、カメラ本体を買わなくても容易に出来ることです。そのため、高いカメラを買おうと考えるよりもInstagramやスマホアプリのアートフィルターの研究を、先に優先しても良いかもしれません。
逆に、高価なカメラを買っても、撮影技術でもってそうした味を出すのは、とても難しいですね。
時代の流れとしては、アクションカメラの超広角が人気!
そして、大衆の流行という観点で語るなら、ビンテージ的な加工ももう下火になってきています。今流行っているのは、GoPro(ゴープロ)などのアクションカメラで撮れる、超広角の写真ですね。
魚眼レンズで撮ったかのような広々として迫力のある写真がネットメディア上に増えてきてますが、あれはアクションカメラで撮ったものが多いです。
アクションカメラは元々はビデオカメラなのですが、静止画も撮れます。アクションカメラなら、話題のGoProでも3万円程度で入手可能です。一眼レフカメラの半値以下ですね!しかもサイズも小ぶりなものばかりで、ミラーレス一眼カメラよりも小さく軽いです。
カメラはどんどん小型軽量なものが求められるようになってきており、静止画ジャンルにおいてもGoProやアクションカメラが主流になってくるかもしれません。
いかがでしたか?
35mmフルサイズとAPS-Cとの違いは、出来れば本格カメラ購入前に一通り理解しておきたいところです。その知識をカメラ購入に活かしましょう。自分の求めるカメラをきちんと選べている人が多くないのは、ちょっと悲しいですね。
そして、よほどのプロ志向の人以外は、画質にばかりこだわりすぎるのはあまりよくないかもしれません。時代的に、「コンパクトと高性能の高バランス」といったものが評価されるようになっておきており、これは多くの人のニーズにもかなうでしょう。APS-Cのカメラにも着目してみてくださいね。